2014年05月31日

最近読んだスタートアップ系の本

横浜で仕事を始めてから1ヶ月半が経ちました。04/09からこちらに来ていますが、いまは長者町という所に滞在しています。常駐勤務をしている会社は横浜駅の近くなので、最寄り駅の伊勢佐木長者町(横浜市営地下鉄)から毎日通勤しています。ちなみに、平日は毎朝6時頃に起床して、7:30/8:00〜16:30/17:00(ときどき1時間程度の自主的残業)の勤務パターンで働いています。私はずっと朝方労働を続けているので、早出出勤も労働時間として認めてもらえてすごく助かっています。都会のIT企業には珍しく、常駐先の会社は朝方の社員が多く、私と同じ勤務パターンで働いている人も数人います(最近は都会でも朝方で働く人がだんだんと増えていて、夕方から大学やビジネススクールなどの学校で勉強したりしている人もいます。残業だけでなく早出出勤も労働時間として認め、大手企業でも社員の勤務パターンの自由度を高くしてやるべきです)。いまの滞在場所の長者町は関内や伊勢佐木町にも近く、伊勢佐木モールという繁華街が近くにあります。この辺りは横浜で一番ホテルが集まっているエリアでもあり、毎日たくさんの観光客(そのほとんどは中国人ですが)を見かけます。夜も賑やかな場所で、夜中でも人通りが途絶えることはありません。

観光地としての横浜エリアの魅力は名所が狭い範囲に集まっていることでしょう。中華街、みなとみらい21、山手などの名所がいずれも電車やバスで10〜15分圏内にあり、徒歩や自転車でアクセスすることもできます。駆け足なら、これらの名所をすべて一日で廻ることも可能です。休日には観光客に加えて東京在住の人もたくさん横浜を訪れます。横浜に滞在していると、休日の度にこれらの名所を巡ってゆったりと一日を過ごすことができます。私もぜひそうしようと思っていたのですが、いままでは副業の仕事が忙しくてなかなかそれがきませんでした。先週末にやっと副業の仕事が終わり、本業の仕事もそれほど忙しくないので、これから休日に近隣の名所を巡ってみようと思っています。滞在場所は横浜スタジアムにも近いので、そのうちプロ野球観戦もしてみたいです。横浜の名所に行ったら、ブログ記事で紹介するつもりです。

さて、話は変わりますが、前の記事に最近スタートアップ系の本ばかり読んでいると書いたので、最近読了したスタートアップ系の書籍を3冊紹介します。

スタートアップ・バイブル シリコンバレー流・ベンチャー企業のつくりかた
アニス・ウッザマン
講談社
売り上げランキング: 21,648

Yコンビネーター シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール
ランダル・ストロス
日経BP社
売り上げランキング: 10,235

ぼくらの新・国富論 スタートアップ・アカデミー (WIRED BOOKS)
並木裕太 WIRED編集部
ディスカヴァー・トゥエンティワン
売り上げランキング: 82,935

上はAmazonの印刷本商品へのリンクですが、私が読んだのはいずれもKindle電子書籍版です。

特に意識してこういう本を選んでいるつもりはつもりはないのですが、AmazonのKindleストアで本を探していると、ついついスタートアップ関連の本ばかりに目を止めてしまいます。Kindleを入手した直後は、Apple, Google, Facebookに絡んだ本ばかり読んでいました。こういう本は結構数があって、読んでいる最中はそこそこ面白かったのですが、読了後に感じたのは大きな虚しさでした。シリコンバレーの先端IT企業は日本とはかけ離れた別世界だなんだなぁと思えてならなかったからです。

その後、Kindleストアの月替りセールで『リーン・スタートアップ』(エリック・リース著)という本をたまたま見つけて、タイトルの目新しさに惹かれて読んでみました。読んだ後で知ったのですが、この本はスタートアップのバイブル本と呼ばれているそうです。私が「スタートアップ」という言葉を初めて知ったのはこの本を読んだときです。そして、この本の中に書かれている米国のスタートアップ企業で用いられる製品開発手法が従来のベンチャー企業のそれと大きくかけ離れていることに驚いてしまいました。特に、必要最小限の機能だけを搭載した製品を開発し、可能な限り短期間でリリースして、利用ユーザーの意見を収集しながら製品を改良していく「MVP(Minimum Viable Product)」という手法はとても斬新でした。製品の機能や完成度にこだわる日本の「モノづくり」とは正反対のやり方です。米国のスタートアップ企業の多くはWebサービスやモバイルアプリなどの製品を開発しており、ハード中心の日本の「モノづくり」と比較するのは危険なことは承知しています。しかし、IT分野の規模や繁栄度を比較すると、米国では拡大と興隆が続いているのに日本は停滞あるいは衰退の方向に向かっています。上で紹介した『Yコンビネーター』という本には「ソフトウェアが世界を食う」というタイトルの章があります。現在のIT分野を牽引しているのはハードではなくソフトです。特にWeb関連で使われる技術の進化は日進月歩で、1〜2年程度の短期間で先端技術が様変わりすることさえあります。製造業がほぼ消え去った米国のIT分野が益々繁栄し、ハード中心の日本は衰退へ向かっていることを考えても、これから起業を目指す人がどちらを選ぶべきなのかは議論の余地はないように思えます。

スタートアップ系の本を読んでいると驚くことがもう一つあります。それは、『リーン・スタートアップ』や『Yコンビネーター』などに登場する米国のスタートアップ企業の多くは、会社を存続させることではなく、会社を売却することを目指していることです。米国のスタートアップ企業の創業者利潤獲得手段は「イグジット戦略」と呼ばれており、「IPO(株式公開)」と「M&A(会社売却)」の2つの方法があります。現在の米国のベンチャー市場では、M&Aによるイグジット件数が圧倒的に多く、その割合は9割以上となっています。自社で開発した製品を会社ごと大手IT企業に高い評価額で売ることが、米国のスタートアップ企業のゴール目標なのです。5年以内に会社を売却できなければ、スタートアップとしては失敗だということです。日本では10年存続する会社はわずか5%だそうです。会社を存続させるよりも、できるだけ早く売却して、会社へ投資した費用の回収を目指す方が合理的だと言えます。IT分野の進化は益々加速しているので、5年も同じ製品の開発を続けているような会社の将来性には希望が持てません。5年以上会社を続けるくらいなら、むしろ一旦その会社を解散して、新しい分野の製品開発に取り組む新会社を設立した方が良いんじゃないでしょうか。これくらいのスピード感で会社を経営しなければ、Webサービスやモバイルアプリなどの先端分野で生き残っていくのは難しいのかもしれません。

ちなみに、Y Combinatorというのは米国シリコンバレーに在るスタートアップ専門ファウンダー兼ファーム(スタートアップ企業養成所)です。面接により選別した50〜60社程度の企業にまとめて少額投資を行い、これらの企業の創業者達を一箇所に集めて3カ月に渡って集中的に指導しながら、他のベンチャーキャピタルなどから大きな投資を受けられる状態まで育てるのがY Combinatorのやり方です。クラウドストレージ・サービスで最大のシェアを持つDropboxがY Combinator出身でもっとも成功した企業です。上の『Yコンビネーター』という本は、Y Combinatorの2011年夏学期に参加したスタートアップ企業創業者の面接から卒業までの動向を密着取材したドキュメンタリーです。TechStars500 StartupsAngelPadLaunchpad LAなど、米国では2010年頃から主要都市にこういうスタートアップ企業を支援するファインダーやファームがたくさん作られています。Open Network Labのように日本でもスタートアップを支援するファウンダーや施設が出現していますが、その数はまだ両手で数えられる程度しかありません。スタートアップ企業を取り巻く環境でも日米の間は悲しいほどの差が開いています。

日本では大手企業への就職や公務員になることを目指す保守的な若者が多いですが、そんな流れに逆らって、あえてリスクを取ろうとする若者も少しずつ増えているようです。たとえ大手企業に就職できても安定した人生などおくれないことに若者達も気づいているからです。こういう若者は外資系企業への就職を目指すケースが多いようですが、学生のうちから積極的にネットワークを築いて、スタートアップの起業を目標にする者も出てきています。また、一旦外資系企業に就職して3〜5年ビジネススキルを磨きながらコネクションを築き、それからスタートアップを設立するケースも多いようです。上の『ぼくらの新・国富論』の著者はこのようなコースを歩んで起業したアントレプレナーで、この本では同様のコースを歩んでスタートアップを立ち上げた人が何人も紹介されています(私の周りでも、独立起業したのは外資系企業で働いた経験を持っている人ばかりです。将来必ず起業しようと考えているなら、実力主義の外資系企業に就職した方が圧倒的に有利です)。大手企業の社員や公務員になれても、結局小さなマイホームかマイルーム(マンションの部屋)を手に入れる程度のゴールしか得られません。何かとこのゴールに到達できても、その後は住宅ローンや子供の教育費の支払いに苦しむ人生が待っています。少しでも頭の働く若者なら、こんな人生プランが明るいものだと思えないのは当然かもしれません。日本企業や公務員の生涯サラリーでは、運用に回せる不動産などの資産を入手することはほとんど不可能です。なけなしの貯蓄を元手に運用を試みても、余程の幸運に恵まれないかぎり大きく資産を増やすことは難しいでしょう。結局リスクを取らない人生プランでは、人並みの資産(マイホームやマイルーム)しか手に入れることはできません。野心を持った若者が外資系企業への就職を目指したり、スタートアップ設立に賭けるのは必然な流れのように思えます。日本国内のスタートアップを取り巻く環境まだまだ十分に整備されているとは言えない状況ですが、ググると、スタートアップの関連情報が相当数ヒットします。やはりスタートアップに注目している人や企業が増えているのは間違いありません。そういう言う私もその一人ですが、米国と同じやり方をしても日本でスタートアップが成功するとは思えません。米国と日本ではIT産業を取り巻く環境に大きな違いがあるからです(日本での事業展開を諦めて、シリコンバレーへ拠点を移すスタートアップ企業も出てきていようです)。

日本はブルーカラー労働者が大勢を占めている国なのに対して、米国はホワイトカラー労働者が社会カーストの上位層を独占している国です。日本で「モノづくり」という言葉が持てはやされるのも、これがブルーカラーにとって心地良い響きの言葉だからです。最近は「ITなんて虚業だ」などという人はさすがにいなくなりましたが、日本のブルーカラーの中にはホワイトカラーに対する差別意識を持っている人がいまだたくさんいます。額に汗して働くブルーカラーは「頭脳労働のホワイトカラーは自分達とは違う人種なんだ」という考えが前面に出てしまう傾向が強く、特に地方ではこの傾向が根強く残っています。日本の電機・家電メーカーの改革がなかなか進まないのも社内のブルーカラーの抵抗が大きいことも理由の一つではないでしょうか。人は長年続けてきた働き方や労働観念をそんなに簡単に変えられるものではありません。スタートアップの事業内容はいずれもWebサービスやネットビジネスが中心でホワイトカラーの最先端なので、日本ではスタートアップが広く社会に認知されることはこれからもないでしょう。国や地方公共団体がスタートアップ支援に本腰を入れることもありえない話だと思います。米国のスタートアップ・ムーブメントの資金源となっているのはすべて民間のベンチャー・キャピタルや個人のエンジェル投資家達です。若者を中心に日本でもスタートアップ・ブームが起きているようですが、それは東京限定の話であり、一般人は「一部の若者が楽して金儲けができる」と騒いているだけだと観ているのが実情だと思います。Google, Facebook, Twitterのように米国ではスタートアップから短期間で成長し、世界に大きな影響を及ぼしているIT企業がいくつも現れています。米国のスタートアップ・ムーブメントは多くの雇用を生み出しながら、国家繁栄の原動力にさえなっています。これに対して、日本では国民の大多数がブルーカラー労働者である方が体制側にとって都合が良いので、ホワイトカラーの先導者は異端扱いされます。日本人は「楽して金儲けをする奴ら」が大嫌いなのです。たとえ合法であっても、極端な動きをする企業へは国家権力機関から警告が出されることさえあります(ライブドア事件がその最たる例です)。いくらITが持てはやされても、ホワイトカラー労働者は自分達が社会的に異端者と見られていることを忘れるべきではないと思っています。

ここのところスタートアップ系の本ばかり読んできましたが、それもこの辺りで一区切りするつもりです。SOHOと違ってスタートアップは一人で始めることはできません。どんなに小さな製品を開発するにしても、最低1人は(できたら2〜3人程度の)協力者が必要です。本を読んで得られる情報には限りがあります。やはりコネクションを拡げないと何も始めることはできません。スタートアップ企業の経営者から話を聞ける機会でもあればぜひ参加してみたいのですが、東京に近い横浜に滞在しているので、そういう機会も探せば見つかるのではないかと思っています。

まとまりのない散漫な内容の記事になってしまい、自分でもちょっと呆れています。それに、ぜんぜん本の紹介になっていませんね。どうも私は書評を書くのが苦手みたいです。本記事で紹介した本について詳しく知りたいと思った方は、Amazonのカスタマーレビューを参考にすることをお勧めします。いままではブログ記事を書きながら上手く考えをまとめることができたのですが、今回はぜんぜんそれができませんでした。いまは大体月5冊程度のペースでKindleストアで本を買って読んでいます。ほんとんどIT関連のビジネス書です。もっとたくさん本を読みたいのですが、経済的な事情もあり、いまはこれが精一杯です。これに懲りずに、また本の紹介記事を書くかもしれません。行動や写真掲載が不要なので、ネタ切れ時の定番記事になりそうです。

posted by とみやん at 17:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記