2015年03月27日

Tizenの研究を始めました

Yocto Projectの記事の中でTizenに興味を持っていることを書きましたが、いよいよTizenの研究を本格的に始めることにしました。

Tizenと言えばSamsung社を連想する人が多いようですが、TizenプロジェクトはLinux Foundation(Linuxオペレーティングシステムの普及をサポートする非営利のコンソーシアム)内に存在しており、Samsungは同プロジェクトの参加企業の一つでしかありません。また、Tizenの産業的役割を主導するために組織されたTizen Association という非営利団体が在り、こちらはアメリカのニュージャージー州に本部を置いています。TizenはAndroidに対抗するモバイルOSとして大きな注目を浴びた時期がありましたが、いまは主力分野をウェアラブル・デバイス、Smart TV、IVI(In-Vehicle Infotainment)などにシフトしています。モバイル・デバイスの向けのSDKやディストリビューションも開発が継続されていますが、TizenのUIはiOSやAndroidのようにまだ洗練されていません。

2015年1月にインド向けのSamsung Z1というスマホが発売されましたが(これの前にロシア向けのSamsung Zという機種が発表されましたが、発売延期になっています)、これがTizenを搭載した初めてのスマホです。これに対して、Firefox OSの方はすでに10機種以上が発売されています(そのほとんどは新興国向けの機種のようですが)。AndroidのライバルとなりそうなモバイルOSとしては、Firefox OSの方が一歩も二歩もリードしていると言って良いでしょう。Google検索のヒット数を比較すると、TizenよりFirefox OSの方が10倍も多いです。日本国内に限っても、NTTドコモが計画していたTizen搭載スマホの発売は延期された(Tizenスマホの開発は進めていたようですが、市場動向から大きな販売数は見込めないと判断したようです)のに対して、auからはFx0 LGL25というFirefox OS搭載スマホが2014年12月に発売されています(ただし、Fx0 LGL25の評判はあまり良くないようです)。これほどの差が開いてしまうと、もはやTizen勢が挽回するは難しいでしょう。

この2つのモバイルOSが登場した当初は私もFirefox OSを方に注目していたのですが、いまはどちらかと言うとTizenに対する興味の方が大きくなっています。Firefox OSへの興味も失った訳ではありませんが、Firefox OSがAndroidの資産をかなり流用していることが判ったことで、Firefox OSに対する熱は一気に冷めました。いまも進歩が続いているAndroidの成果を流用できるので現実的な選択であることは理解できますが、「それでは、Androidとどうやって差別化するのか」という疑問が生まれます。私は天邪鬼でマイナーなものにほど惹かれる傾向を持っていて、いまはFirefox OSよりTizenへの関心の方が強いです。

私がTizenに大きな興味を持つようになったもう一つの理由は、Tizenプロジェクトを主導している企業にIntelが含まれていることです。Yocto Projectもそうですが、Intelが主導者的な役割をしているプロジェクトを研究すると技術的に得られるものが大きいです。ただし、Intelが主導者的な役割をしているのはスマホ/タブレット向けのTizen(Tizen Mobile)ではなく、Tizen IVIの方のようです。前者を主導しているのはSamsungのようです。Samsung社はGalaxyシリーズのアクセサリという位置づけでGearシリーズという製品を販売していますが、その中の腕時計型製品にもTizenが搭載されています。こちらはTizen Wearableという名前で、そのSDK(Tizen SDK for Wearable)もTizen Developersのサイトで配布されています(ただし、Samsung Gearシリーズの評判はあまり芳しくないようです)。Intelが主導者的な役割をしているので完全に消滅してしまうことはないと思いますが、Tizenの将来は決して明るいとは言えないでしょう。

■ Tizen SDKのインストール


Tizen研究着手の第一段として、まずはTizen SDKをインストールしてみましました。ウェアラブル・デバイスやIVI用のTizen SDKも配布されていますが、無印のTizen SDKはモバイル・デバイス用の開発環境です。私が一番興味を持っているのはTizen IVIなのですが、アプリの動作環境や開発手法は他のデバイス向けのSDKと大きな差はなんいじゃないかと想像しています。開発者向けのTizen DevelopersというサイトでTizen SDKのMac OS X版が配布されているので(Ubuntu, Windows, Mac OS X版があります)、Tizenの概要を知るために、これをメインPCのMacBook Airへインストールしてみました。

Tizen SDKは、Tizen Developersサイトの以下のベージで配布されています。

 Tizen SDK | Tizen Developers

Tizen SDKを使うにはいくつかの前提条件があります。前提条件に関する詳しい情報は以下のベージに掲載されています。

 Prerequisites for the Tizen SDK | Tizen Developers

PCのスベックとしては、デュアルコア2GHz以上のCPU、3GB以上のメモリとなっていますが、ググって得た情報によると、CPUはCore i5クラス以上、メモリは4GB以上でないと、SDKに含まれているエミュレータが実用的な性能では動かないらしいです。今回Tizen SDKをインストールしたのはMacBook Air 11"(Early 2014)ですが、この条件を十分に満たしています。

Mac OS X版Tizen SDKのソフト環境の要件だけを記載すると、以下のような条件を満たしている必要があるようです。
  • Oracle版のJava 7以降がインストールされていること。
  • Command Line Toolsがインストールされていること。

Tizen SDKにはIDEが含まれていますが、これはEclipseをカスタマイズした物らしいです。EclipseはJavaベースのアプリケーションなので、Javaが必要になります。私の環境にはApple版のJava 6(JDK 1.6)はインストール済みでしたが、Oracle版のJavaはインストールしていませんでした。Tizen SDKのインストールを始める前に、OracleのサイトからJDK 1.7を入手して、Apple版JDK 1.6を残したままインストールしました(参考ページAにApple版とOracle版JDKの共存方法が掲載されていたので、このとおりにしました)。Command Line Toolsの方はXcode 5.1.1のインストール時に追加済みだったので、こちらの作業は必要ありませんでした。

下調べで得た情報によると、Tizen SDKのインストールは上記のベージで配布されている「Install Manager」という名前のインストーラを使って行うようです。このInstall ManagerによってTizen DevelopersのサイトからSDKイメージがダウンロードされるようですが、あらかじめダウンロードしておいたSDKイメージを使うこともできます。インターネット回線の速度に依存しますが、前者の方法だと最低でも数十分以上かかるみたいなので、私は後者の方法を選択しました。ちなみに、今回MacへインストールしたのはTizen 2.3 Rev2 SDK(本記事投稿時点の最新バージョン)です。

前提条件がすべて整っている状態になっていることを確認した後、さっそくTizen SDKのInstall Managerを起動してみました。
SCShot_150327_0003-Installing_Tizen_2.3_Rev2_SDK-MacOSX-452x256.png
Install Managerを起動すると、最初に下のようなウィンドウが表示されます。
SCShot_150327_0007-Installing_Tizen_2.3_Rev2_SDK-MacOSX-630x490.png
このままインスールを開始すると、SDKイメージはインターネット経由でダウンロードされるようです。ここでは、ローカルなSDKイメージを指定するために[Advanced]というリンクをクリックしました。すると、下のようなウィンドウが開きました。
SCShot_150327_0011-Installing_Tizen_2.3_Rev2_SDK-MacOSX-578x484.png
このウィンドウ内の[Package server]というのがインターネット経由でSDKイメージをダウンロードするオプションで、もう一方の[SDK image]がローカルなSDKイメージを使うオプションのようです。[SDK image]ラジオボタンを選択した上で、右側のフォルダ・アイコンをクリックするとファイル選択ダイアログが開いたので、あらかじめダウンロードしておいたTizen SDKのイメージファイルを指定しました。その上で[OK]ボタンを押すと、最初のウィンドウに戻りました。

SDKイメージの取得方法を選択した後、最初のウィンドウの[Install]アイコンをクリックして、Tizen SDKのインストール処理を開始しました。すると、下のようなウィンドウが表示されました。
SCShot_150327_0013-Installing_Tizen_2.3_Rev2_SDK-MacOSX-630x490.png
このウィンドウには2種類のインストール・プロファイルが表示されています。このままインストールを開始すると、[Mobile-2.3]というタイプのアプリを開発するための標準的なコンポーネントがインストールされるんだと思います。

インストールするコンポーネントを変更できるかどうかに興味があったので、ここでは[Custom]というボタンを押してみました。すると、ウィンドウは下のような表示に変わりました。
SCShot_150327_0014-Installing_Tizen_2.3_Rev2_SDK-MacOSX-630x490.png
どうやら、このウィンドウによってインストールするコンポーネントを個別に選択できるようです。下のウィンドウが[Typical]のコンポーネントの選択状態です。
SCShot_150327_0015-Installing_Tizen_2.3_Rev2_SDK-MacOSX-630x490.png
[Typical]のコンポーネントだけでも問題ないのかもしれませんが、ここでは、すべてのコンポーネントを選択状態にした上で、[Next]ボタンを押しました。
SCShot_150327_0016-Installing_Tizen_2.3_Rev2_SDK-MacOSX-630x490.png
すると、ライセンス条件への同意を求める下のようなウィンドウが表示されました。
SCShot_150327_0017-Installing_Tizen_2.3_Rev2_SDK-MacOSX-630x490.png
[I agree]ボタンを押すと、さらに下のようなウィンドウに変わりました。
SCShot_150327_0018-Installing_Tizen_2.3_Rev2_SDK-MacOSX-630x490.png
このウィンドウの[INSTALL]ボタンを押すると、Tizen SDKのインスール処理が開始されました。
SCShot_150327_0020-Installing_Tizen_2.3_Rev2_SDK-MacOSX-630x490.png
インストール処理が終了すると、最終的に下のようなウィンドウ表示になりました。
SCShot_150327_0021-Installing_Tizen_2.3_Rev2_SDK-MacOSX-630x490.png
これで、Tizen SDKのインストールは完了のようです。

インストール処理の開始直前のウィンドウに表示されているとおり、デフォルトでは、Tizen SDKは以下の2つのディレクトリへインストールされます(同ウィンドウ内の[Installation Location][Data Location]というリンクをクリックすることで、Tizen SDKのインストール先ディレクトリを変更するこも可能です)。
  • /Users/LOGINUSER/tizen-sdk
  • /Users/LOGINUSER/tizen-sdk-data

Tizen IDEの実行ファイルを探してみると、/Users/LOGINUSER/tizen-sdk/ide/IDE.appがそれのようです。
SCShot_150327_0022-Installing_Tizen_2.3_Rev2_SDK-MacOSX-910x474
インストール完了時のウィンドウに表示されている指示に従って、Macを再起動した後、このIDE.appという実行ファイルを起動してみました。すると、下のようなスプラッシュ・ウィンドウが表示されました。
SCShot_150327_0023-Installing_Tizen_2.3_Rev2_SDK_MacOSX-478x328.png
そして、しばらく待つと、下のようなウィンドウが開きました。Eclipseを使ったことのある人にはお馴染みのワーススペースの保存先ディレクトリを尋ねるウィンドウです。
SCShot_150327_0027-Installing_Tizen_2.3_Rev2_SDK_MacOSX-591x244.png
このウィンドウの[OK]ボタンを押すと、数秒後に下のようなウィンドウが開きました。
SCShot_150327_0030-Installing_Tizen_2.3_Rev2_SDK_MacOSX-1024x746
これが、Tizen IDEのWorkbenchウィンドウのようです。

本当はHello Worldアプリを作成して、それをエミュレータで実行するところまで書くつもりだったのですが、疲れてしまいました。Tizenのアプリ開発事始め的な内容は次の記事に書くことにします。

【2015/03/29 追記】

本記事にはTizen SDK 2.3 Rev2をMacBook Airへインストールした際の作業記録を書きましたが、Mac miniへもTizen SDKをインストールしてみました。こちらへインストールしたのは少し古いバージョンのTizen SDK 2.2.1 です。

この2つのバージョンのInstall MaganerとTizen IDEの画面にはだいぶん差がありました。参考のために、Tizen 2.2.1 SDKのMac OS X版をインストールした際のスクリーンショットを掲載しておきます。
SCShot_150329_0001-Installing_Tizen_2.2.1_SDK-MacOSX-628x478.png
SCShot_150329_0003-Installing_Tizen_2.2.1_SDK-MacOSX-578x484.png
SCShot_150329_0005-Installing_Tizen_2.2.1_SDK-MacOSX-578x484.png
SCShot_150329_0006-Installing_Tizen_2.2.1_SDK-MacOSX-578x484.png
SCShot_150329_0008-Installing_Tizen_2.2.1_SDK-MacOSX-578x484.png
SCShot_150329_0009-Installing_Tizen_2.2.1_SDK-MacOSX-578x484.png
SCShot_150329_0010-Installing_Tizen_2.2.1_SDK-MacOSX-578x484.png
SCShot_150329_0013-Installing_Tizen_2.2.1_SDK-MacOSX-578x484.png
SCShot_150329_0014-Installing_Tizen_2.2.1_SDK-MacOSX-578x484.png
Tizen 2.2.1 SDKでは、Tizen IDEの実行ファイル名はTizenIDE.appになっていました。
SCShot_150329_0016-Installing_Tizen_2.2.1_SDK-MacOSX-888x558
初めてTizen SDK 2.2.1 のIDEを起動すると、スプラッシュ・ウィンドウとワークスペースの保存先を尋ねるウィンドウに続いて、下のようなWelcomeウィンドウが表示されました。
SCShot_150329_0020-Installing_Tizen_2.2.1_SDK-MacOSX-1024x768
このウィンドウの[Workbench]というアイコンをクリックすると、Tizen IDEのWorkbenchウィンドウが開きました(2回目以降の起動ではWelcomeウィンドウは表示せれず、直接Workbenchウィンドウが開きました)。
SCShot_150329_0022-Installing_Tizen_2.2.1_SDK-MacOSX-1024x768
Workbenchウィンドウの構成も、Tizen SDK 2.2.1と2.3 Rev2では少し違っています。

【参考ページ】

  1. MacにJava(JDK)をインストール - Qiita
  2. Macに「Tizen SDK」をインストール | Tech Cauquet
  3. GClue blog: Tizen SDKのインストール


posted by とみやん at 18:53| Comment(0) | TrackBack(0) | モバイルOS研究 > Tizen
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